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共に生きるとは

2024年2月26日 杉山 郁子


お久しぶりです。今回は杉山がブログ担当です。今年に入って少し感じたことを書いてみたいと 思いますので、よろしくお願いします。


1月終わりに私の母校の研究団体(南山大学・人間関係研究センター)が行った、公開講演会に 行ってきました。テーマはダブルマイノリティで講師は今井ミキさんという映画監督の方でした。ご 自身が聴覚障がい者であり、LGBTQ+の方です。そして、そのことをテーマにした映画の作成を して、広く皆さんに理解をしていただこうと活動を積極的にしていらっしゃいます。 当日は今井さん監督の「虹色の朝がくるまで」を鑑賞した後、今井さんの活動や経験などのお話 を聞かせていただきました。


私はこの講演会に参加させていただいて、自分の中にある根強い偏見や思い込みに、改めて気 づかせてもらうことになりました。 私は手話通訳者の研修やテキスト作りに携わったことがあり、障害のある方の中で聴覚障がい の方に対しては身近な存在であると感じていました。ところが、今井さんのお話を聞いて、私がい かに聴覚障がいの方のことを「聴覚障がい者だから」と区別して考えているかを実感したのです。 私たちの日常で起こっていることが全く同じように、いやむしろ世界が狭いだけに厳しい状況の中 で起こっているかに、私が思いを馳せることをしていなかったかを、自分としては衝撃的に実感し たのです。


もう一つは、2月の始めに行ったベトナムでの体験です。 日本とは全く違う事情がそこにあり、出来ることや出来ないこと、大切にされていることが違うこと を、単なる旅行ですが実感しました。 一般的に言われる衛生面(特に水とトイレ)の違いはもちろん(思ったよりは良かったです)ですが、 私はそれよりも交通事情や言葉のことで感じることが多かったです。


交通事情は日本でもよく紹介されている、バイクに家族全員が乗っている姿をよく見ました。当然 ベトナムの交通法規では、バイクの定員は規制がないのだと思っていたのですが、実は2人乗り までなのだそうです。ただ、家族(子ども)は除外されるそうなので、バイクに家族全員が乗ってい るということが起こるのです。バイクは少し前まではヘルメット着用は義務付けられておらず、そ の頃はハノイなどの都市部では1日30人以上の死者がいたそうですが、その後ヘルメット着用義 務になり、死者数は激減したそうです。 バイクだけでなく車も多く走っており、最も多いのが日本車ですが、LEXUSや外国の高級車も結 構走っており、経済格差を感じるものでした。私が最も不思議に思ったのは、軽自動車が全く 走っていないことです。ベトナムの事情には、軽自動車は合っていると思うのですが、ガイドさん に聞いても「無いですね」と言うだけで、何故かを知ることはできませんでした。これは今でも私の 疑問です。


もう一つの言葉のことですが、ベトナム語はガイドさんも難しいと言う通り、発音など複雑(鼻濁音 も多く、発音の違いで全く違う意味になるものもあって)で、1週間では私は挨拶程度がやっとでし た。なので、ふとした時に私の口から出るのは、これまた片言の英語です。

私の中に、英語ならど こでもある程度は通じるだろうという、気持ちがあるからだと思います。ところが多くのベトナム人 は英語で話そうとはしません。本当に分からないのか、話したくないのかは分からないのです が、ホテルのフロントだとか、外国人相手のお店の一部の人ぐらいしか、耳を傾けてもらえないの です。これは教育の問題だけなのでしょうか?それとも辛い歴史的背景からくるものなのでしょう か?外国に行ったら最も通じるのは英語で、当たり前のように英語で話そうとする私の行為は、 私の思い込みによるものでしかないことを痛感しました。


私は18歳の時から人間関係の学びに触れ、その後もずっとそのことに携わらせていただいてき ました。一人ひとりが全く違うこと、また、そのことが人間の尊厳ということに繋がる、最も大切な ことであるとも学んできました。同時に、それが充分に分かっていても、自分自身に偏見や思い 込み、独自の価値観があることも分かってはいます。ただ、日常生活の中で、こんなにも無意識 にいろいろなことを、行動としてもやってしまっているのです。このことを、この2つの体験は改め て考える機会を与えてくれました。


歳を経る毎に、頑固にもなってしまうことも経験から知っています。人と関わって生きていく限り は、今回のような刺激を時々受けて、真に一人ひとりを大切にすることはどういうことなのかを考 え、自己点検をしていきたいと願っています。




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