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「やりとりをする体力・胆力を身につけるには」今岡まゆみ 

  • 執筆者の写真: 日本アサーション協会
    日本アサーション協会
  • 3月18日
  • 読了時間: 3分

更新日:7 日前




2025.3.16


平木典子先生から本協会の代表を引き継いだ隅谷理子さんの取組(中高校生向けのアサーション教育)が、先日NHK Eテレ 10min.ボックス生活・公共~「空気って読まないとダメ?」で紹介されました。

NHK for School(NHKの教育コンテンツ無料配信サイト)でも配信されています。

 

学生のときから、「自分を大切にして、意見や気持ちを伝えてもいい」ということ、「相手も同じようにしてもいいこと」を学ぶチャンスがあるというのは大事なことだと思います。一方、「話していいんだよ」と言われても、そう簡単に話せるものでもないことを経験し、コミュニケーションの難しさも私たちは知っています。

 

(一社)オープンダイアローグ・アプローチ研究会FLATさんが主催された「オープンダイアローグ・カレッジ2024後期」で平田オリザさんが「対話とは何か~「違い」を大事にするとはどういうことなのか」というテーマで語ってくださった中で興味深かったことを紹介したいと思います。それは対話の体力をつけるためのトレーニングが必要だとおっしゃったことなのですが・・・。

 

「そう簡単にわかりあえない、みんな違って大変だから」こそ、異なる価値観を持った人と出会って、変わることに喜びを見出す経験をリテラシーとして若いうちに身につけていくことが大事であり、そのために平田さんは演劇を通じて対話を広げる取組をしているのだと語ってくださいました。

 

隅谷さんが中高校生のアサーション教育で取り組んでいるロールプレイも、やってみての経験をふりかえり、修正を重ねていきます。その中ではうまくいくことも、そうではなかった経験もしながら、段々とやりとりをする体力・胆力がついてきた・・・学生さんの感想からそのようなことを想像します。大事なのは「練習」、そして「ふりかえる」というプロセスから学ぶ環境を早いうちからつくることでしょうか。

 

また、同じ経験をしなくても、他者を演じる(役割を替える)ことにより、想像できる経験を積むことはできます。そうして、お互いの接点をつくり、共有できる領域を広げていく。とことん話し合っても解決しないこともあることを理解し、少ない時間でもどうにかする力(同意はしなくても折り合いをつけていく力)をつけようとする教育が大事であると平田さんは表現されました。

 

コミュニケーションには1つの正解があるわけではないからこそ、難しくもあり、可能性もあります。年齢は重ねていても、わたしにとってのアサーションの学習は、やりとりする体力と胆力をつけようとするトレーニングであることは間違いありません。

 

*参考文献

「わかりあえないことから~コミュニケーション能力とは何か」 平田オリザ著:講談社現代新書(2012)

 
 
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