2025年を迎え、改めてご挨拶を申し上げます。前代表の平木典子より代表を引き継ぎいたしました隅谷理子(すみたにみちこ)です。2018年に発足した日本アサーション協会は、2024年7月に一般社団法人となりました。これまでのCAATを中心にした活動を継続し、さらに新たな取り組みを企画してまいります。どうぞよろしくお願いします。
当協会は、アサーションが単なる個人のコミュニケーションの技術にとどまることなく、集団におけるコミュニケーションから人間関係やチーム・組織の構築を考えていきたいという平木典子の思いから発足いたしました。それらの思いが詰まったものが当協会の提供する協働のためのアサーション(CAAT ; Collaborative Approach in Assertion Training)です。
CAATでは、アサーションを通じて集団における人間関係を促進する“協働”について深く体験し、それら学びをそれぞれの家族、組織、コミュニティで活かせるようになることを目指しています。日本におけるアサーショントレーニングのあり方も、時代と共に変化をしてきています。人の文化、価値観が時代と共に変化しているように、私たちのコミュニケーションも変化をしているからです。AIの力に頼らざるを得ない情報化社会の現代は、変化のスピードも目まぐるしく、大きな格差をつくり、個の情報処理の能力が重視される時代になりました。便利さとは引き換えに、生身のコミュニケーションは薄くなり、支え合う人間関係の確かさを感じづらくなっています。
そして孤独感のなか、自分らしさを見失う人たちが増えているように思えてなりません。私たち人間は本来、それぞれに豊かな感情と異なる感性をもっています。それらを他と共有できることで、多様な文化と人間関係をうみだし、その集団や社会の中で生きる意味と幸福感を見出すことができると思います。今まさに多くの家族や職場、地域が求めていることではないでしょうか。
そこで当協会は、家族・集団・社会の中で他と共に相互的で協働的な関わりを求められるようになるとその中で自分らしさを見出していけるのではないかという期待に光をあて、「一人ひとりが自分らしくあり、共に公平な社会を創る」という理念をかかげています。このような理念に賛同し、協働のためのアサーション(CAAT)に興味がある方は、是非今後の協会の活動に積極的に参加してくだされば幸いです。当協会の活動も皆さんと共に協働でつくり、アサーションをもりたてていきたいと思います。
一般社団法人日本アサーション協会代表 隅谷理子(すみたにみちこ)
代表者プロフィール
大正大学臨床心理学部准教授
上智大学総合人間科学研究科博士後期課程修了。博士(心理学)。公認心理師、臨床心理士。専門は産業労働分野。これまで多くの企業組織において職場復帰支援を通じ、人事担当と協働で組織づくりの実践に携わる。心理臨床のオリエンテーションについては、家族療法・アサーションを平木典子、コミュニティ心理学を故山本和郎、久田満、カウンセリング心理学をクスマノ ジェリー、質的研究を故木下康仁、産業メンタルヘルス・キャリアカウンセリングを故大西守、廣川進に師事する。現在はナラティヴ実践協働研究センターにてナラティブセラピー、社会構成主義を学ぶ。主な共著は「公認心理師のための協働の技術(誠信書房)」。
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